皆様、土地家屋調査士という国家資格をご存じでしょうか?
土地家屋調査士とは、不動産の登記簿(登記記録)の「表題部」の新設、変更・更正、閉鎖等の代理申請を行う土地建物の表示登記の専門家です。
『お隣さんが、境界立会してくれません!』
というのは土地家屋調査士の実務では、頻繁に耳にします。
いわば、これが土地家屋調査士の最大の課題であり、この点を隣接者様にきちんと説明してご理解していただくのが私達の責務であるとも思います。
前回、前々回に引き続き、実際にどんな事を言われるのか経験を交えてお話しします。
本当はうちが買いたかったのに、他に売ってしまったから、境界立会はしない。
こちらは最近もあった話です。過去には筆界特定まで行ったケースもあります。隣にアパートなど建てて欲しくないから、隣接の方から売って欲しいと言われましたが、金額が合わず建て売り業者さんに売ることになりました。そうすると、売ってくれなかった事が気に入らないとの事で立会に協力しないと言われてしまいました。今回は売主さんがお隣さんに以前から言われていたので、まずはお隣さんに筋を通して売買の話しを持って行った結果、金額が合わなかっただけなのに、立会をしてくれないという仕打ちをされて、かなり憤られておられました。
数回のお願いの末、ようやく立ち会って頂き解決はしましたが、お互い後味の悪いものでした。今回は金額が合わなかったもののお声はかけていたので、最終的には立会をしてくれましたが、お声をかけていなかったら立会はしてくれなかったと感じました。事前に声がかかっていなくても、お隣さんからうちに声かけてくれたらよかったのに!声かけるべきだろう!など、お隣さんが買いたかったのにと不機嫌になられるケースは時折あります。
お隣さんの建物が明らかにこちらの土地に建物が越境しているが、建物を壊すつもりはないので、立会はしない。
これもなかなか理不尽な話です。こちらは建物(屋根や庇等の付属物の場合もありますし、建物自体が越境していることもあります)を越境されて困っているにも関わらず、立会にも協力しないし、越境も解消してくれないといったケースがあります。これはお隣さんの色々な心理状態にもよると思いますが、現土地建物所有者ではなく前所有者や親が越境して建物を作ってしまって、その責任を取らされるのではないか、自分のせいではないのに急な費用負担があると困る、使える範囲が狭くなったら嫌だ、など理由は様々と思います。
一番良い解決策は、一部分筆して土地を購入して頂くか、建物の越境を解消して頂くかとなりますが、これには一定の費用がかかり、なかなか応じてくれないのが現状です。越境が大規模でなければ、越境の覚書をお互いに作成し、解決を図られたりしています。かなり繊細な問題ですので、地権者さんとお隣さんによく話し合ってもらい、解決策を探っていく必要があります。場合によっては弁護士さんに入って頂く事もあります。
土地の売買を行う場合、隣地からの越境があれば、自ずと土地の利用範囲も減りますし、トラブルの種を抱えていることになりますので、越境がない事が理想です。ただ、樹木など生長するものもあれば、経年劣化でブロック塀等が越境してくることもあります。土地の管理保全という意味で、お隣の越境物等はたまにでよいので、気にされていたほうがよいと思います。
このようなケースは一部の例であり、通常は快くご協力頂ける方がほとんどです。こちらの説明をご理解頂き、快くご協力頂ける方の為にも誠実に業務に取り組んで行かなければと日々心に刻んでおります。
私自身土地家屋調査士を何年も行っておりますと、隣地との争いでもったいない時間や費用を使い、それに伴い精神的負担を被った方を多く見てきました。土地の境界は基本的には自己管理です。帰省で実家に帰った時など大切な土地を守るという意味で、ご家族で境界について話をされることもとても大事な事と思います。また、“お隣さんとは仲良く”が色々な意味で良いことだと思います。
お困りの時は、お近くの土地家屋調査士にご相談されてください。
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