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2016年よりマイナンバー制度スタート 不動産オーナーへの影響は?

2015.12.21

1.マイナンバー制度の概要

 国がマイナンバー制度導入に踏み切った理由は、国民全員に番号を付すことにより、社会保障・税・災害対策の一元化を図り、行政サービスの効率化の推し進める事とされています。また、将来的には「個人番号カード」に運転免許証や健康保険、クレジットカード等の機能を持たせることにより、国民生活の利便性の向上につなげていくという構想を打ち出しています。

 しかしこの制度の本当の趣旨は、全国民(特に富裕層と呼ばれる人)の資産状況を把握することにより、税金及び社会保険料の徴収をより厳格に執り行おうとする国の意図があります。もともと、いわりゆるサラリーマンの毎年の所得は、会社を通じてほぼ全体が行政に把握されてきました。しかしそれ以外の事業を行って収入を得ている人の所得は、規模が大きくなるほど多岐に渡り実態の把握は非常に困難な現状があります。これをマイナンバーにより一元管理し、税金や社会保険料の取りこぼしを無くそうという事が目的とされています。

 

2.情報漏洩リスク

 もしマイナンバーが外部へ流出した場合、どのようなリスクが発生するのか?皆さんの気になる部分だと思います。

 現状においてマイナンバーの利用は「税金」と「社会保障」の分野に限定されている為、普通に生活をしている人にとっては、漏洩したからと言ってすぐに大きなリスクが生じる可能性は低いものと考えられます。

 しかし将来的にはマイナンバーの適用範囲は、「医療」「金融」といった分野への拡大も検討されています。もしそうなった場合には様々なリスクが予想されます。たとえば、いわゆる「悪徳名簿業者」に知られてしまうと、マイナンバーからその人の病歴や資産状況、場合によっては家庭・職場といった情報を読み取られる可能性が生じてきます。こういった個人情報が悪意を持って利用される可能性がゼロとは言えないのです。マイナンバーは、原則として一生変更されることありません。一度漏れてしまうと、知らない所で勝手に利用される可能性があるので十分な注意が必要です。

 こういったリスクに備え、国は次のような対策をを講じています。一つは、「マイナンバー法」の制定による、情報漏洩に関する罰則の強化です。マイナンバーを取り扱う事業者が情報を漏えいさせた場合には、最高で4年以下の懲役又は200万円以下の罰金という罰則規定が設けられています。さらに、2017年1月よりインターネット上で「マイナポータル」というサービスが開始されます。このサイトでは、自分のマイナンバーの利用状況を確認する事が出来るため、知らないところで勝手に利用さていないかをチェックする事が可能となります。但し「マイナポータル」の利用に際しては、専用のカードリーダー(2,000円~3,000)を自己負担により購入する必要があります。

 いずれにしろご自身が「マイナンバー」を不用意に漏らさないことが最も重要です。電話でマイナンバーを聞かれるようなことは絶対にありません。怪しいと感じたら、自分から市役所へ電話で確認するなど注意を心がけて下さい。

 

3.不動産オーナーへの影響

 それでは今回のマイナンバー制度の導入により、不動産オーナーにとってどのような影響があるのでしょうか?

 

 ①マイナンバーの提示

平成28年分の確定申告(平成29年3月15日申告期限)より、税務署へ提出する確定申告書へ自身のマイナンバーを記載することになります。又、配偶者控除や扶養控除を受ける場合には、配偶者等のマイナンバーも合わせて記載する事になります。

さらに、不動産を事業者に対して貸付けている場合には、平成28年の12月頃までに、借主(事業者に限る。)に対して自身のマイナンバーを教える必要があります。これは、借主側において「不動産オーナーのマイナンバー」を記載した書類を税務署に提出する義務がある為です。このため、借主側は「不動産オーナーのマイナンバー」を教えてもらう必要があるのです。

オーナー側としては、マイナンバーを教えることについて抵抗がある人も多いかと思います。基本的に教えなかったからといって、貸主・借主ともの罰則規定は今のところありません。但し、今後どうなるかは不透明です。当然借主側(教えてもらう側)には、情報管理の義務が課されます。マイナンバーを教える際には、借主側がどういった情報管理体制をとっているのかを確認するなどの、自己防衛も必要になってくる事と思います。

 

 ②預金口座のマイナンバー管理

 平成30年より預金口座についてマイナンバー提示が任意で開始されます。これについては当然任意ですので、拒否する事も出来ます。しかし、平成33年からは提示の義務化を検討中です。以前から、税務署による預金口座の監視体制は存在していましたが、今後はより厳しいものになることが予想されます。預金の贈与などされている方は、当然のことながら申告漏れが無いように、より一層の注意を心がける様お願いします。

 

 ③社会保険の強化(法人をお持ちの方)

 不動産オーナーの中には、不動産管理会社を設立している方も多いかと思います。原則として、すべての法人は社会保険(協会けんぽ、厚生年金)への加入が義務付けられています。しかし、一説によると全国で約70万か所の事業所が、社会保険未加入の状態と言われています。マイナンバー導入後は、基本的に加入義務違反の事業所はなくなっていくものと予想されます。

 もちろん社会保険への加入は当然の義務です。しかし一方で保険料の負担が高額であることも事実です。場合によっては、会社を終了させた方が負担が軽くなるケースなども予想されます。このあたりは、専門家(社会保険労務士、税理士等)も含めて検討していく必要があります。

 

 マイナンバー制度に関しては、その導入の実現性も含めてまだまだ不透明な点もありますが、平成28年より事実上スタートします。いずれにしろ、資産や毎年の所得の監視体制がより厳しくなっていくことは間違いないものと考えられます。

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筆者紹介

山方 越志
税理士法人 田崎・太田事務所
税理士

私は、これまで相続税の申告に30件以上携わらせて頂いています。相続対策も含めますと少なくとも100件以上にはなるかと思います。税理士事務所において、相続税の申告は通常1年に1回あるかないかと言われる状況から鑑みますと、かなりの件数をこなしているものと自負しております。 「相続対策」と聞くと節税対策を連想する方が多いのではないでしょうか? 実際、対策を打つことで相続税額が大幅に減少するケースは多数あります。しかし相続税を支払うのは財産を持っているご本人様ではなくその相続人様です。この考えから、財産をお持ちの方の中には「自分が死んだ後の財産や相続税には興味がない。」といった方も多いように見受けられます。 しかし私は本来の「相続対策」とは、ご本人様の為にこそ必要と考えております。「相続」という言葉の意味は、「次々と続いていくこと。」だそうです。その人が亡くなった後も、その人が生きてきた事実はいろいろな形で周りの人に受け継がれ生き続けるのだと思います。それは目に見えるものもあれば、目に見えないものもあるでしょう。その中で「相続財産」とは、その人が引継ぎ守り築いてきた、目に見える人生の証です。 節税のアドバイスは当然のこととして、何よりも「その人の大切な物が大切な人に引き継がれていくことのお手伝い」をモットーに業務に携わらせて頂いております。

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